きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

うだるような暑さの続いたある日、松平公から近藤さんに急使が届いた。


「近藤さん、松平公は何だって?」


急使から文を受け取った時、たまたま局長室にいた、土方さんは近藤さんに聞いた。


「うむ・・・。詳細は書かれておらぬのだが、至急、隊士を全員引き連れて御所の南門に来るようにと。」


「そうか・・・。近藤さん、この事は芹沢らには言うのか?松平公が芹沢ではなく、近藤さんに急使を寄越した意味は分かるだろ?」


そう。


松平公はもう、芹沢を筆頭局長だとは認めていない。


芹沢ではなく近藤さんの所へ文が届いたのが全ての答えだ。


「トシ!芹沢さんを呼び捨てにするな。・・・分かっておる。だが、芹沢さんは今はまだ浪士組の筆頭局長だ。伝えぬわけにはいくまい。」


はぁ、とため息をはきながら近藤さんは言った。


「そうかい。では、まず芹沢・・・さんらに伝えてそれ以外の隊士を広間に集めよう。」


「ああ。そうしてくれ。トシ。隊士らを広間に集めといてくれ。」


近藤さんは立ち上がりながらそう言うと芹沢さんの部屋へと向かった。