きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

〜土方side〜


「クソッ。」


俺は新八の後を追って急いで大和屋へ向かった。


大和屋は遠くから見ても分かる程、激しく燃えていた。


「チッ。芹沢の野郎、余計なことしてくれやがって。」


これで益々、浪士組の評判は悪くなる・・・


「華を苦しめやがって。」


俺は無意識のうちに呟いていた。


「新八〜。消火の方はどうだ?」


大和屋に着いた俺は新八を見つけて聞いた。


「ダメだな。火の廻りが早い。大和屋の全焼は免れねぇな。」


消火活動する新八から状況報告を聞くがどうやら大和屋の全焼は間違いなさそうだ。


「そうか・・・近隣に燃え移らせるな!被害は大和屋だけにとどめろ。」


その場にいた隊士全員に指示を出し、俺も消火活動に加わった。