するとやっと待ち合わせの電車が来て、いつものように坂口さんを探すと、一人ではないのが分かった。


相手はいかにも『品のある大人の女性』だった。


話している姿があまりにも自然であたしは胸がチクンと痛み、立ちすくんでしまった。


すると坂口さんはあたしがいるのに気付き、手招きしてくれた。

ペコッとお辞儀をして、
近くにいていいか不安な気持ちになりながら近づいた。
坂口さんは、
その女性を、
『高浦 美穂さん。俺の上司だよ。』

『こんばんは。高校生?』

坂口さんはまた
『高浦さん。この子は‥』

と話しているのを途中で遮り、

『私は、桜井紗彩です。高三です。坂口さんとは知り合いです。』と早口で言った。


正直、坂口さんに何て言われるのか怖かった。



どうして‥?
と自問自答し、
胸が痛くなるのも、
そう思うのも
やっぱり坂口さんが好きだからだ。



再認識した。




.