エゴイズム。

マスターは仲西雄大の思惑を仲の良い情報屋から聞いてこの計画を実行したらい。

マスターの話を聞いていると隣の夏目が｢まだ気づかないの??」と俺に言葉をこぼした。

｢まだ、何かあるのか??勘弁してくれよ」

と俺が夏目に向けて発した。夏目は少し寂しそうな表情を見せながら口を開いた。

｢功さん、忘れたの私はマスターの孫の瞳よ」

これは流石に驚いた。俺が二十代前半の時によくなついてくれていたマスターの孫の瞳だったのだ。
その時は瞳は少し幼い少女だった。

｢私のこと気づかないなんて酷いことしてくれるわね。功さん」

夏目瞳が頬を赤く染めて怒っているのに気づいた。

｢まさか、夏目君が瞳だったなんて知らなかった。十年でこんなに変わるもんなんだな」

マスターは俺の呟きを聞いて｢女の顔を忘れるなんてまだ未熟者じゃな」と笑った。

それから一時間過ぎ帰ろうと立ち上がると夏目瞳は功を呼び止めた。

｢また明日ね」

その時、俺が知っている少女時代の瞳の影が見えた。




ドアを開けるとまだ風は冷たかった。