翌朝、学校へ行く足取りは重い。


ついでに言えば、ほとんど寝てないのでまぶたも重い。


何でタケルがあんなことをしたのかはわからないが、タケルが悪いんだということにしといた。


だってそうじゃないと、やってられないから。



『おはよー!』


『はよー!』


瞬間、後ろから背中をパシッと叩かれ、驚いて振り返った。


そこには、見慣れた二つの顔があって。



「おはよ、七海アンド結衣。」


『…まとめて言うな!』



しっかり者の七海と、おっとりしている結衣は、共に小学校からの親友で。


こちらも奇跡的に、同じ高校の同じクラスなのだ。


なので悲しいことに、タケルとも仲良しで。


そんな人間に、昨日のことなんて口が裂けても言えるわけがなくて。



『…何か美咲、暗くない?』


『…もしかして、今日の数学の課題やってないとか?』


ウシシッと笑った七海は、あたしを指差す。


その瞬間、思い出して。



「ギャー!!
そのことも忘れてた!!」



本当に、最悪なのだと思った。


それもこれも、全部タケルの所為なんだ。


本当はもぉ、このまま逃げ帰ってしまいたかった。


だけど帰ったって状況が良くなることなんて、絶対ないってわかってる。


それにタケルに、“気にしてるんだ”なんて思われたくなかった。