エレベーター・ブルース

ドアの先は薄暗いが、なんとなく多くの人が、こちらを見ているのが分かった。

どうやら僕は、ステージにいるようだ。

同じステージには、ヒゲを生やしたピアニストと、スタンドマイクを前にした女性ヴォーカリストが、僕に微笑みかけていた。

「ようこそR&Bの世界へ

ヒゲのピアニストは、静かにメロディを奏で始めた。

演奏が始まった。

まもなくピアニストは僕に、目で合図を送ってきた。

僕はこくりとうなずき、演奏を始めた。


楽器はもちろん、『エレベーター』だ。


【完】