たたたっ

「いけねぇ、初めての学ランに気を取られ過ぎた。」

「急がないと遅刻だ」

春己は走る。

ぶかぶかの新しい学ランと学校指定の黒色の鞄が春風と共に揺れ
学校指定の新しい白色の運動靴が地面をひたすら蹴り続ける。

「やっぱり野球のスパイクの方が走りやすいなぁ。」

春己は小学4年の終わりから、ついこないだまで、野球チームに入っていた。

なかなか上達しなかった為、小学6年になって、ようやく、6番セカンドのレギュラーの座を獲得した。
春己は中学に入っても、野球部に入るつもりだった。