「お呼びでしょうか、社長」

大きな部屋の中心に、ただ一つ机が置かれている殺風景な部屋。



その机にオヤジは座っていた。


『‥松下に電話させて随分経つな』

「学校があったものですから」


目を合わさずに会話をする。おれとオヤジは必ずこうなんだ。



「話と、は?」


『‥高校を卒業してからと思っていたあの話を、実行する。一年早まったが‥まあいいだろう』



---あの話を、実行する。


あの話‥‥を。




「えらく急な話です、ね」


『‥ああ』



「ということは学校を辞めろ、と」

『そういうことになるな』





『出発は‥12月、だ』