「最後に一つだけ、いい?」 帰り際、アキは背を向けたまま小さい声でぼそっと言った。 『ん?』 「12月‥3日。何の日かわかるよね…」 …12月3日って何の日だ? 何かの記念日か?? 「フユの誕生日、うちにください」 「‥あの桜の木の下で待ってるから」 おれの返事も聞かずに、 それだけ言って帰っていった。 そっか‥その日誕生日だっけ、おれ? すっかり忘れてたな‥っ。 …アキと一緒に過ごせるのも最後だし、行くか。