「君は何で生きているの?
私は君が生きている理由が聞きたいな」

「何でそんなことを……?」

「うーん……、なんとなく……かなっ!?」



雫から聞かれたのは、何故生きているか。
僕は、いきなりの質問だったので、少し戸惑ったが決まっていた。

「復讐のため」

そう。
俺は、いつか親友を殺した通り魔を殺す。

それが今、俺が生きるために支えていた物だった。

だがそれは、雫の言葉によって消えていった。

「復讐はいけませんよ、人は復讐により更なる復讐を呼びますから」

それがどうした。
お前には関係ないだろ。
と、僕は思っていた。

「それなら復讐を消すほど楽しいことを探せばいいんですよ。
過去のことは忘れて今を生きればいいのですよ」

雫は、笑顔でそう言った。
雫の笑顔には、不思議な物があった気がした。
それは全てを包み込むような笑顔。

雫の言葉で、僕の頭から「復讐」の文字が消えていった。

「ね?」

「あ……うん」

そう言うと雫は帰っていった。

だが、僕は「復讐」の為に生きている。
僕から復讐を取ったらどうなる?

わからない。
おそらく生きていけないだろう。

「はぁ………」

とりあえず時間も遅いので帰ることにした。

その時、空を見上げると雫の言葉が浮かんだ。

「楽しいこと………か」


そして空は暗くなっていく。

だが、僕の心は、少し少し明るくなっていった。


四月一日 Fin~