真也は目を開けた。

全身にびっしょりと嫌な汗をかいていた。

薄くなった髪の毛が頭皮にはりついている。

思い出した。

すべて思い出した。

「ゆり…」

真也は泣いていた。

俺の不注意でゆりは死んでしまった。

俺の不注意だったのに、俺自身は助かってしまった。

涙が床を濡らした。

あの後真也は、自暴自棄になって自殺未遂を繰り返した。

そしてショックのあまり、記憶喪失になってしまっていたのだ。

真也が、例え表面的にだけでも立ち直って前進するためには、それは必要不可欠な過程だった。

でも。

現実世界からだけでなく最愛の真也の記憶からも抹消されて、ゆりはどんなに悲しかったことだろう。

「ゆり、ごめんな」

真也は深く頭を垂れた。