『うたもわかんない…』
と言って、大粒の涙を流した姉。
すると、『斗和』と姉貴のうしろで'おいで'と手招きする羅兄ちゃん。
泣いてる姉貴をよそに、羅兄ちゃんに近寄った。
『斗和いいか?よく聞け』
と真剣に言う兄にコクンと頷いた。
『おまえは男だ。だから守れ』
『え?』
『怖いからって、いつまでも逃げてねぇで、母さんと緒羽を守れ』
『僕が…?』
『そうだ、海人と一緒に2人を守れ。できるよな?』
『………』
すると、頷いた俺を抱きしめた兄貴。
『斗和、おまえは強い』
『僕、強くないよ?』
『おまえは強い。兄ちゃんが言うんだから間違いねぇ』
『………』
『ちゃんと、母さんと緒羽を守れよ?』

