前にもあったパターンだ。
この人は寝るときに何かを抱き締めていないと眠れないのか?

でも、なんだか今回はいつもと違う。


「ねっ? ダメだよ。本当起きて……っ」


晴紀の規則正しい寝息が耳にかかる。

それだけで体がゾクっとして痺れたようになる。
益々力が入らなくなり、腰がふやけそうになる。

やばい、私変だ。
とにかく起こさなきゃ、私がもたない。

この状況をなんとかしなければ!


「ダメだってば! このバカ晴紀!」


ガツンッ!

私は力を振り絞り、大きく頭を振って晴紀に打ち付けた。


「いってぇ! 何すんだよ美紗っ!」

「こっちのセリフでしょう! エロ晴紀!」

「何の話だ!?」


私に思いっきり頭突きされた晴紀は勢い良くソファーから転げ落ち、何事かと目の前にいた私を睨みつける。