「ほら、風邪引いちゃうよ?」
部屋から持ってきたタオルケットをかけようとした瞬間、晴紀に腕を掴まれ強く引っ張られた。
「うわっ!」
油断していたせいでガクンと体が傾き、そのまま晴紀に倒れ込む。
そしてすっぽりと晴紀の腕の中へ入った。
「ちょっ……!!」
しかも晴紀が私を抱き締めたままソファーの背の方を向くため、私はソファーと晴紀に挟まれて身動きが出来ない。
一気に体の体温が上がる。
嘘でしょう!? なにこれ!
「起きて! ねぇ、起きてよ」
腕の中でもがき、必死に抵抗するが晴紀は眠気が強いのか起きる気配がない。
それどころか、晴紀は抱き枕のようにぎゅうっと私を抱きしめ、首筋に顔をうずめてきた。
背筋がゾクッとする。
「! んっ……。やだっ。ちょっと」
どうしよう。
晴紀からは甘い香。
ドキドキと息苦しさで呼吸が上手くできない。
頭の中はパニックでどうしたらいいのかわからず思考をまとめられない。
なんでこんなことになっているのか。
「起きてよっ、ねぇ、寝ぼけてる……の?」
心臓が破れそう。
腕に力が入らない。



