俺は美紗の隣に座った。
二人がけのソファーがぎしっと沈む。
隣をチラッと見ると美紗の表情が沈んでいて、たまらず明るく頭を軽く突っつく。
「バーカ、なんつー顔してんだよ」
「なっ、バカって言うな!」
口を尖らせてムッと反論してくるところがますますバカだ。
「いつまでも気にしてんなよ。それともあの時、 俺行かないほうがよかったとか?」
ちょっと意地悪な気持ちになり、ついそんなことを口走る。
あの様子からそんな訳がないってわかっているけど、言葉が先に出た。
「そんな訳ないでしょう! あんたが来てくれて、私がどれだけ……!」
ハッとしたように目を丸くして口をつぐみ、目を泳がせる。
俺が来てなんだって?
「なに?」
「あ、いや。別に」
「言わねーと、いじめちゃうよ?」
俺は美紗の方に体を寄せ、にっこり微笑む。
美紗はこういった攻めに弱い。
ほら、案の定腕を前にして必死に俺を押し戻そうとしてる。
無駄な抵抗なのにな。



