飯を食い終わったころ、コーヒーを入れているとテレビでスペシャルドラマが始まった。
テレビに映し出される見たことがある光景にあっと手が止まる。
ん? これは。
美紗も気がついたようで、あっと声をあげ、テレビを指差しながら振り返った。
「ドラマ出てたの?」
「あぁ。去年撮影してたやつだ。今日放送だったのか」
メインじゃなかったし、事務所の先輩のバーターだったから出番も少なかった。
打ち上げも終わって番宣にもでなかったからすっかり忘れてた。
俺は主役の弟役。
始めの方と終わりの方くらいしか出てないんだよな。
でも確か、この内容って……。
俺は内容を思い出して、しまったと顔をしかめてリモコンを取り上げようとした。
「あんま見んな」
リモコンに伸ばした手は直前で美紗に阻まれる。いいじゃない、とニヤニヤと見続けるから俺も強くは言えない。
どうせ自分が出ていて恥ずかしいからだとか思ってるんだろうけど、そんなことじゃない。
ちなみに俺は自分のドラマは見ないが、一緒に見られても恥ずかしくはない。
そうじゃない問題があったのだ。
すると、美紗はそれに気が付き笑顔が消えた。
「これ……先生と生徒の恋愛ドラマなの?」
「……だから見んなっつたろ」
今日あんなことがあったのに。
案の定、表情が曇ってやがる。



