家に帰ると、良い香りが漂っている。キッチンでは美紗が夕飯を作っていた。
「……ただいま」
「あ、お帰り」
美紗はチラッと振り向く。
俺は、というと、気持ち的にはいつもと一緒だ。
別にドキドキして緊張して、なんてことはない。
いつも通りだ。
……本当に恋なのか!?
考えれば考えるほど、お腹が空いてきた。
美味しそうな香りが思考を止めてお腹を刺激する。
「……俺も食いたい」
「言うと思った」
俺が呟くと、美紗は手早く料理をする。
どうやら二人分用意していてくれたようだ。
何回か美紗の料理を食べているが、実は結構うまい。母親に仕込まれたと言っていたが、レパートリーもあるみたいだし、文句のつけようはなかった。
まぁ、女らしさはあるけどなぁ。



