先生の声が耳元でした。
どうしてだろうか、と顔をあげると横には先生の顔のアップ。
「!?」
驚きで固まると私は先生に後ろから抱き抱えるように体を支えていた。
先生の熱が背中に感じて思わず赤くなる。
「先生!」
「ケガは?」
「あ、ありません」
「はぁ~、良かった」
先生はホッとしたように息を吐いた。
先生がとっさにかばってくれたようで怪我はない。
「先生、すみませんでした」
先生のに謝り、体を離そうとするが、お腹に回った腕が離れない。むしろしっかりと抱きしめられていた。
え、何で?
先生の呼吸が耳にかかる。
うわ、どうしようっ。
この状況に戸惑い、慌ててしまった。
「斎藤先生っ!?」
私は思わず大きな声で先生を呼ぶ。
「うん。無事でよかった」
するとすぐ横で先生はにっこり微笑んで体を離した。
資料室が薄暗くて良かったと思う。私、きっと顔真っ赤だ。
だって近くで見ると先生は本当にイケメンだった。
でも、顔が赤くなるのと同時に、身を固くして逃れたい気持ちにもなった。
なんだか落ち着かない。
「さて、帰りましょうか。明日もよろしくお願いしますね」
「あ、はい」
先生は笑顔だったが正直ドキドキしていて、返す笑顔が引きつってしまった。
なんか、一瞬、先生が先生でなかった気がした。



