陸が隣に座った。
「ね、晴紀、英語の課題やった?」
「まだ。陸は?」
「同じくだよ。あれやばいよねぇ。あ、ねぇレオ、教えて」
陸はメンバーの氷山レオに泣きついた。
レオは端正な顔をこちらに向ける。地毛である薄茶色の髪は光に当たると綺麗だ。肌も色白で王子さまのようだと表現されている。
そんなレオはイギリスのハーフ。
だから英語わかるだろうと陸は言うが、しかし。
「俺、日本生まれ。日本育ち。英語嫌い」
そう言ってレオはグレーの瞳をそっと伏せる。
そうだった。
こいつはハーフのくせに英語が苦手なんだよな。
家で英語を話すことがほとんどないとかで、日本人と同等の英語レベルしかない。
レオが拗ねた顔をしていると、メンバーの龍太郎がニヤニヤしながらトイレから戻ってきた。
龍太郎は見た目はレオと反対で、どちらかと言うとワイルド系。
黒髪を少し伸ばし、後ろに流している。
「あ~陸がレオを泣かした~。い~けないんだ」
「うるさいよ、なら龍太郎くんが教えて!」
「何をいっている? 勉学に励みたまえ。高校生諸君」
「ほら、自分だってわかんないんしょ」
「グーで殴るよ? 陸ちゃん?」
「ふ~んだ。あ~あ、美紗ちゃんに教えてもらおっかな。ねぇ、晴紀?」
陸はニコッと笑った。
その笑顔が黒い。
わざと龍太郎の前で言ったな。
「ん? なんか意味深!?」
案の定、食いついてくる。
龍太郎がニヤニヤ俺に笑いかけた。



