「警戒心なさすぎ」
「警戒心って……あの人はただの幼なじみのお兄ちゃんだよ? 仕事で帰ってきて、ちょっと様子を見に来てくれただけじゃん」
「そんなの関係ねぇし。ホント、バカ」
こちらの話もまともに受けずに吐き捨てるような言い方にさすがにカチンときた。
「何よ! ただの幼なじみだって言ってるじゃん。なんでそんなに怒るの」
「うっせー」
振り向いてもくれない!
説明しても取り合ってくれない!
どうしてよっ!
怒りがこみ上げてきて、涙で視界がぼやけてくる。
「もう知らない! 晴紀のバカ!」
叫んで私は家を飛び出した。
バカ晴紀っ!
ちゃんと話聞いてくれたっていいでしょう!
私のこと見てくれたっていいじゃない!



