背の高い由季は小さい子にするように私の頭をグリグリとなでた。その仕草も子どものころから変わらない。
由季は大学卒業後、父と同じ会社に入り、役員をしている父付の秘書になっていた。
今も父一緒にアメリカへいっていたはずだが。
「な、何でいるの?」
「ん? 仕事で日本に来たから寄ってみた。おじさんにも様子を見てこいと言われてたし」
「お父さんに?」
「元気してたか?」
そう言って勝手知ったる我が家に当然のように入っていく。
慌ててそれを追いかけた。
「元気だから! ほら飛行機の時間があるでしょう。ゆっくり出来ないんじゃない?」
「何慌ててるんだ。時間なら少しある」
こちらの焦りなどものともせず、微笑んでダイニングの椅子に座った。
由季は血の繋がりはないものの、私の兄的存在で向こうも私を妹のように可愛がっていた。
つまり、由季に晴紀のことがばれたらうるさそうだということ。
てか、図々しくお茶飲んでる。



