その時、携帯が鳴った。
この着メロはMarsで、ということは、晴紀からだ。
「もしもしっ」
『よぅ。元気?』
飛び付くようにでた先から大好きな人の優しい声がして、それだけでさっきの寂しさが吹っ飛ぶ。
一気に胸の中が温かくなった。
「元気だよ。さっきまで結衣と一緒だったの」
『そっか』
あれ?
「晴紀? 風邪でもひいた? 声がちょっと変だよ」
『あ~、ちょっと引いたっぽい。大したことないよ。コンサートも今日で終わりだし明後日には帰れるから』
「本当!?」
『あぁ。そうだ、明後日花火大会あるだろ?』
「うん」
『一緒に行こう』
「えっ、でも、騒ぎになっちゃうよ?」
『暗いし眼鏡でもかけてりゃわかんねって。一緒に行って思い出作ろう』



