「ふ~ん、龍太郎さんがそんなことをねぇ」


屋上に吹く初夏の風は心地好いが、結衣は私が龍太郎に言われたことを話すと困るような迷うような表情を見せた。


「龍太郎さんの言うこともわかるんだけど気持ちがね、まだ追いつかないっていうか」


正直に話すとう~ん、と結衣はうなる。


「でも龍太郎さんがそう言いたくなるのもわかるな」

「え?」

「だって一緒に暮らしてるんでしょう?」


聞かれて素直に頷く。
結衣には、陸くんと付き合い出したときに私たちの同居について話しはしていた。
いずれは分かることだから黙っていても仕方ないのだろうと判断してだ。


「佐々木くん、理性もつのかな」

「り……!」


理性。
言われた意味を理解して自分の顔が赤くなるのがわかる。


「でも、私が拒んでいるわけじゃぁないよ?」

「うん。ただ、美紗はすぐ赤くなるからさぁ」

「だって!」


顔に出てしまうものは仕方ないじゃない。