「あ、おかえりー」 仕事から帰ると美紗が笑顔で出迎えてくれた。 思わず顔が綻ぶ。 付き合う前は、こんな笑顔では出迎えてくれなかった。 なんか、いいな。 新婚みたいだとにやけそうになる。 「ご飯にする?」 「うん。美紗にする」 俺はそう言って美紗を抱きしめた。 「ちょっと」 美紗の抗議なんて無視だ。 ここが玄関だろうが関係ない。 これだけでも一日の疲れが吹っ飛ぶのだから俺もそうとう重症だな。 「ちょっと、晴紀っ」 美紗が腕の中で暴れる。 仕方ないなとそっと離した。