「しかし」 「は?」 「佐々木くん、しっかりつかまえておかないと、僕が横から奪ってしまいますよ」 「カナダ行くんだろ?」 「そんなの何とでもなりますよ」 先生は意地悪くニッと笑った。 諦めろって。 こいつも裏表があるから厄介だ。 きっと半分本気で半分は葉っぱをかけてくれたのだろう。 「残念でした。そんなことはさせねぇよ」 「さて、ではせいぜい大切にしてください。相川さんは可愛いですから僕に限らず、他の男に取られないように」 先生は俺の肩をポンと叩いて部屋を出ていった。