晴紀は苦笑する。


「どうして泣くんだよ」

「わかんない。でも」

「でも?」

「嬉しいから。すごく、嬉しいから」


うん、と晴紀がうなずく。

そう。凄く嬉しいのだ。だって、だって。


「私も晴紀が好き」


そう、ずっと気がつかないふりしてたけど私は晴紀が好きだ。

アイドルだからとかで言い訳して理由をつけて、気がつかないようにしてたけど、本当は答えが出ていたんだ。

誰でもない。
佐々木晴紀のことが好き。

すると晴紀が嬉しそうににっこり微笑み、その笑顔に今更ながら恥ずかしくなる。

顔を隠すように下を向くと、晴紀が優しく私を腕の中に包み込んだ。

そして、


“ずっと側に居て欲しい”



そう耳元で呟いた。