「ため息?」


聞き覚えのある男性の声がして顔をあげる。

そこには……。



「こんなところに隠れてたんですね」


そこには笑顔の斎藤先生がいた。


「先生……」


私は驚いてとっさに立ち上がる。


「その反応はちょっと傷つきますね。僕が鬼役だからじゃないんでしょう?」

「あ、えっと」


前回のことがあって以降、先生とはほとんど話をしていなかった。
先生は教師として降るまい、あのときのことは無かったかのように、他の生徒と同じように扱っていた。

だから、改めて話しかけられるとどうすればいいかわからない。

私が困っていると先生はふふっと笑った。


「佐々木くんも貴女を探していましたが、彼よりも先に貴女を見つけました。貴女と話がしたかったので。相川さん、僕はこの前のこと、本気です」


この前のこととは、資料室で抱き締めたことだ。
斎藤先生……。