晴紀がきっかけを作ろうとしていた矢先。それは突然やってきた。


「陸、田中が呼び出されてたよ」


休み時間に遊びに来ていた陸に晴紀はそう告げた。
そう言えば結衣の姿がない。
晴紀のきっかけ作戦かと思ったが、とうやら本当に呼び出されていたようだ。


「うん? 生徒会は大変だね」

「違くて、先生じゃなくて男に呼び出されてたよ」

「男?」


陸はちらっと私を見た。
呼び出されていたのは本当のようで、私も頷く。


「あれは多分、一年生」

「……」


陸は眉を寄せ、険しい表情になる。


「気になるなら探しにいったら?」

「別に……」


言葉を濁し、でも気になるのに動こうとしない陸に晴紀はため息をついた。

「仕方ないなぁ」