しかし、美紗は食い下がるように俺の服を掴んだ。


「どうしてか言ってよ」


俺の理不尽な怒りに、美紗はムッとしたようて、俺をキッと見上げる。

さて、どうしよう。

ここで、告白するとか俺的にはあり得ない。
でも適当にはぐらかしたところできっとこいつは納得しないだろう。それなら一番上手くかわせる方法をとるしかないと考えた。


「どうして怒ったか言わせたいのか?」

「だって急に怒るから」


むすっと口を尖らせる美紗に向き合った。


「教えてほしいか?」

「教えてほしい」

「本当に?」

「本当に」

「なら、耳かして」


俺はわざと腕を美紗の肩に乗せ、顔をグッと近づける。
するとハッとした顔をして慌て出した。


「まっ、待って!」

「ん?」

「耳はちょっと……」


見ると美紗が赤くなっている。

なるほどなるほど、耳弱いのか。
それならなおさら攻めたくなる。

つい意地悪したくなってくる。


「俺には関係ねーし」

「ダメッ。私がダメなんだもん」


耳をふさぎ、上目遣いで睨んでくる顔に今度は俺がハッとする。

その顔、俺もやばくなる。

まずいな。

今、すっげー抱きしめたい。