すると、さらに調子づいた龍太郎は場所を移動俺と美紗の間に割り込むように入り込んで座った。


「いや~、しかし、晴紀がこんな可愛い子と住んでたなんてなぁ~」


しかも馴れ馴れしく美紗に体を寄せる。
それに美紗は驚いたように少し体を引いた。

こいつ! 美紗が困っているじゃねぇか。

俺は腹が立ち、龍太郎くんの頭をベシッと叩く。


「イテッ。なんだよ~」


恨みかましく俺を振り返るがそんなことお構い無し。
龍太郎の抗議など無視だ無視。

美紗も困っているし、とりあえずここから離れてもらおう。


「美紗、もうすぐ昼だしなんか飯作ってくんねぇ?」

「え? 全員分?」

「そう。腹減った」


そう言うと、「えー」と呟くが、仕方ないなぁとキッチンへ向かう。
とりあえずはこれでオッケー。
俺は少しホッとしてため息をついた。


「ククッ。なんだよ、晴紀。俺から美紗ちゃん、引き離したろ~」


龍太郎は口に手を当てて爆笑しないように肩で笑いを堪えている。


「龍太郎くんは女に見境ねぇだろ」

「まっ! 失礼な。可愛い女の子が好きなだけでしょう。なにさ、ただのヤキモチのくせにっ」

「龍太郎くん。わかっててもそれははっきり言い過ぎだよっ」


陸はフォローしたつもりだろうが、俺の心に深く刺さる。
しかもそういう陸の方がはっきり言っている気がするんですけど……。