学校も事件の乱れから少し落ち着きを取り戻し始めていた。

知沙も落ち着いて授業をうけれるようになった。いや?落ち着いて眠れるようになったと言うべきなのかもしれない。

啓太は、いつも寝てる知沙を見て、よくこんなに眠れるものだと感心する。

「山口起きて!」

寝ている知沙の肩をたたいた。

「なんだよ!」

知沙は迷惑そうに目を覚ました。

「あのさぁ、この間の約束覚えてる?」

「覚えてない!」

そう言って知沙はまた、睡眠態勢に入ろうとする。

「僕の恋のキューピットになってくれるっていう約束!」

「もう必要なさそうなんだ!」

知沙は顔を上げた。

「もう諦めた?」

「そんな訳ないだろう!今幸せいっぱいさ」

「へぇ〜山本彼女いるんだ?物好きな女もいるんだね?」

自分の親に物好きと言っているのには、まだ気付いていない。