彩は、デスクで前に担当した。殺人事件の調書を作成していた。

「竹下、これ後頼むよ!」

中途半端に書いた調書を竹下刑事に手渡した。

その時デスクの上の電話が鳴った。

彩は、電話を取り

「はい!二課山口です。」

「山本様より電話です。」

「山本?山本…山本ってだれだっけ?」

「独り言を言いながら」

電話に出た。

「はい!代わりました。山口ですが」

そう言うと

「あの…昨日お世話になりました。」

と啓太の声が受話器から聞こえてきた。

「あぁ〜昨日の…あれから大丈夫だった?」

「はい!」

それからしばらく沈黙があった。

「どうしたの?」

「よかったら今日会ってお礼をしたいのですが?」

啓太がそう言うと…彩はしばらく考えて…

「お礼なんかいいのよ!」

「食事でもと思って?」


彩は高校生に食事をご馳走してもらうわけにはいかないと思った。

「そういう訳にはいかいわ」

啓太は、ここで会えなかったら二度と会えない。そう思うと必死になっていた。