知沙は教室に走り込んだ。

「セーフ」

まだ担任は来ていない。
ゆっくり自分の席に着くと親友の麻由が近寄ってきて

「おはよう」

と声をかけてきた。

麻由は中学からの親友で気軽に何んでも相談できる、ただ一人相手だった。麻由もそう思っている。

知沙は、麻由に挨拶した後、何気なく隣の席に視線がいった。

そこには、息ね抜けたコーラーみたいな男が何かブツブツ言いながら座っている。

「おい!山本お前、何をブツブツ言ってるの?」

と知沙が聞いてみたが全く聞こえていない。

「へんなやつ!おまえ勉強やりすぎて頭おかしくなったん?」

だが啓太は全く無視…

まさか自分の母親のせいで啓太がおかしくなってるとは、知るはずもない。