淳司の前で、散々泣いた。 きっと初めてだ。 こんなに泣いたのは……。 「チョコ…ちょうだい。」 「はあ?」 いきなりの淳司の言葉に、思わず聞き返してしまった。 「チョコだよ。貸してみな?」 持ってた小さな袋を淳司が取った。 「それ、田中君にあげて返ってきた、縁起悪いチョコだよ?」 なのに…包みを丁寧に破って、チョコが入った箱を出した。 「どうすんの…?」 淳司は、何も言わないで箱からチョコを出して、一個摘んで口に放り込んだ。