幸運なことに 緋月は運動神経が 良かったので 不様な姿ながらも 階段にしがみつくことに 成功。 しかしながら ここは喜ぶべき場面で ないことに気付き 恨みがましく くららを見上げた。 『おーまーえー……』 「置いてかないで」 『……何? その段ボール箱に入った 捨て犬みたいな目。 やめて。 オレ悪者みたいじゃん。 案内も何も 階段上ってすぐなんだから。 不様なオレを乗り越えて さっさと行けよ』 緋月は 諦め半分で 右手をシッシッと 振ってみせた。