ラバーズキス

アツシの車が止まった。
「早いな」
驚いたようにアツシが言った。そう言うアツシもいつもより早かった。
「アツシも早かったじゃん」
「出先からだったから…」と、アツシが言い終わらないうちにアツシの携帯が鳴った。「悪い」とアツシは短く言うとまた車に戻っていった。
電話の相手を告げずに離れる時は彼女なんだろうな~と、ぼんやり考える。けれど、前ほども彼女への劣等感もなくなっていた。
毎日2時間の電話と、週末を独占しているからなのかもしれない。
彼女は、どう思ってるんだろう。
毎週末にアツシがいないことを。
毎日、2時間も電話がつながらないことを。