ラバーズキス

ドアが開き、アツシが入ってきた。
「りんも来てるな。ビール取って」
アツシは1人でベッドに座るとあたしに言った。あたしはビールをアツシに渡して、少し悩んでまた和希の隣に座った。本当はアツシの隣に座っていたかった。でも、アツシの顔を見ると彼女のことを思い出して泣きそうで、あたしはアツシの顔を見ることすらできなかった。
「りん、しんどいのか?」
アツシが聞いた。
「ううん、もう平気」
あたしはアツシの顔も見ないで短く答えた。
好きな人にこんなこと、どうしてしちゃうんだろう。一緒にいれるだけでもいいはずなのに。彼女がいたって、あたしが好きなアツシにはかわりないのに。
あたしがモヤモヤとそんなことを思っていると、大哉が口を開いた。
「アツシ、彼女から電話?毎日電話してるんだって?」
「毎日りんと電話してる。なぁ!?」
アツシがあたしの頭に手を乗せた。あたしは突然でびっくりして振り返った。
「今日は一緒にいるから電話してないけど、なぁ?」
アツシは笑いながら言う。この顔が見れるだけでいい。あたしの名前を呼んでくれるだけでいい。