ラバーズキス

アツシとの待ち合わせ場所に着くと、アツシは座り込んでタバコをくわえていた。あたしはどんな顔でアツシに会えばいいのか気持ちの整理がつかなくて、眠ったふりをして目を閉じた。

「お待たせ」と和希が窓を開けてアツシに声をかける。
「おせーよ」
アツシの声が車の中に入り込む。あたしは切なくなって涙が出そうになるのを我慢するように強く目をつむった。
「りんは?」
「寝ちゃったみたい」
エミナがシーッとアツシに言ってるのが聞こえる。あたしも喋りたいなぁ…顔が見たいなぁ。
目をつむったままそんなことをぼんやりと思っていると、急に何かが膝にぶつかった。驚いていて目を開けると、助手席のシートを思いっきり倒してアツシが座っていた。
「あ、起こしちゃった?ごめんね~」
アツシがサングラスを取って、ニヤニヤしながらあたしに言った。
「あー、アツシひどいんだぁ」
エミナに言われると、
「いいよな?別に」
と、あたしに言った。
なんか、電話の時とは感じが違って調子が狂う。