そういえばそんなこともあったな…。
あの日からアツシと会ったのは2回なのに、毎日の電話のせいかずっと前から知ってるような気がしていた。
「で、アツシの女ってりんのこと?」
助手席に座ってる大哉が振り向いた。
「そーそー!私も聞きたかったんだよね~。どうなのよ?りん!」
エミナもテンション上がって騒いでいる。
「あたし…知らないよ。」あたしは、それだけ言うのがやっとだった。
今、何て言ったの?「アツシの女」?
あたしの胸は大きな音をたてる。あたしは軽い目眩を感じた。
「りんちゃんじゃないよ、彼女は。年上の人らしいよ」
和希が言った。
あたしは目眩がひどくなった。「年上の人」?みんな何言ってるの?
「へぇー。アツシって年上好みなんだぁ。なんかイメージと違うねぇ」
と、エミナがあたしの顔を覗き込む。
「うん」
あたしの精一杯の返事だった。