「ふぅん、そういうことか」

俺は小さな声で呟くと、立ち上がった

デスクトップの電源を落とすと、キーケースを手の中に入れる

俺は自分の部屋を出ると、静かにドアを閉めた

気分悪りぃ

サイテー、最悪の奴らだよ、まったくさ

俺はキッチンに行って、冷蔵庫から缶コーヒーを掴んだ

冷たい缶の表面が、熱くなった俺の身体を気持ちよく冷やしていく

「勇人さん?」

か細い声が俺の背後から聞こえてくると、振り返った

そこには寝巻姿の桃香と、さくらが立っている

「起こしちまったか? 悪い」

俺は笑顔で言うと、何かもを理解しているであろう桃香がゆっくりと首を左右に振った

「…眠れないよ。松浦君が気になっちゃって…」

桃香がそっとさくらの手を握る

さくらの目頭が、じわっと潤むのがわかった

アパートに戻っても心細いだろうと思って、さくらを俺の家に連れてきた

身体が弱いって松浦から聞いてる

無理させて、さくらまで倒れたら大変だからな

そうだろ、松浦

お前が目が覚めた時、さくらもベッドに横になってたら、困るもんな