【短】ハッピーバレンタイン





取り残された吉野さんとぼく



春川さんはまだそっぽ向いたままで、ご機嫌ななめらしい



一体ぼくは何でここにいるのか…



理由がわからないまま、春川さんが何か言ってくれるのを待った



「…上がりなよ」



口を尖らせたまま、目も合わせてもらえないまま、春川さんは上を指差した



「お、おじゃまします」



何も口にしないまま、春川さんは階段を上がっていく



「早紀、なんて?」



「よく分からない。罰ゲームがどうのって」



ぼっ



ばっと振り返った春川さんの顔に火がついたように赤くなった



見た瞬間、胸がどきりと跳ねたけど、また理由がわからない



「そ」



それだけ言うと、春川さんは部屋に入っていった



可愛らしい部屋で、女の子って雰囲気



窓からは土手が見える



「罰ゲームだったの」



「うん。嫌いな人に渡せみたいなやつ?春川さんも災難だね」



「……」



「でもちょっと嬉しかった。初めて家族以外からもらったから」



「……逆なのっ」



「え?」











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