バレンタインも目前に迫ったある日、

『かおり!バレンタインにチョコくれや!』

思いがけないショウ君からのチョコの催促だった。

「えっ!?なんで!?」

私は驚きのあまり聞き返した。

『欲しいから。くれへんなら別にえーけどやぁ…』

少し寂しそうにショウ君が言った。


「分かった!先生に内緒であげるわ!」

私は嬉しかった。あげる口実が出来たから。

告白なんてマダ分かってないし、付き合うって事も分かってなかった。

でもチョコを好きな人に渡すって行為が神秘的だった。