バレンタインの前日。

女の子は誰にチョコを渡すか盛り上がっていた。

『かおりちゃんは誰かに渡すん?』

アーチャンが話しかけてきた。

アーチャンは細身で小学生らしからぬ色気みたいなものを持った女の子。

誰が見ても可愛いし頭も良い。

でも…私は苦手だった。

羨ましかったから。

何でも出来て可愛いアーチャンが羨ましかった。

「ショウ君にあげるけど…」

『そうなん!ショウ君の事好きなん?アーは大ちゃんにあげる!』

「ショウ君に欲しいって言われたからあげるだけ!」

恥ずかしさのあまりそう答えた。