何も言えずにいると、

黒髪の人が無表情のまま

話しかけてきた。


「何やってんの?‥そんな奴等なんかに」


あたしは戸惑いながら答えた。


「‥ケガ、してるから」

「‥‥馬鹿じゃねぇの。」

「貴方が、したの?」

「‥‥‥悪い?」

「‥‥‥‥うん」

「‥‥‥なんで」

「暴力はダメだよ。皆、傷つく」

「強かったら殴られねぇんだよ‥」

「‥殴られなくても殴ったら痛いんだよ?」

「‥‥‥‥知るか」



黒髪の人をよく見たら、

アタシの通っている

元宮中学校の制服を着てる。

かなりラフに着てるけど‥

確かに、同じ学校の人だ。

時間を確認すると

もう学校に行かないと

遅刻する時間だった‥

アタシは立ち上がり、

黒髪の人に話しかけた。

「学校‥もう行かなきゃ。アンタも遅刻するよ‥?」

「‥‥お前オレと学校、同じか」

「まぁ。」

「何年?」

「3年生だけど」

「‥‥‥‥‥あっそ。」


そう言って黒髪の人は

歩いて行った、

学校とは逆方向に‥

話しかけても

無駄そうだったから

アタシは

ケガをした人達に

少し頭を下げてから

学校に向かった。






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