【短】籠の中の小鳥



「・・っと。」



僕は彼女をもう一度背負いなおし、前のドアを開けた。



ドアを開けた向こうに広がるのは黒の世界。


どこを見ても黒黒黒、黒一色。


テレビなどの家具もない。

無機質な空間。



僕はその黒の世界に足を踏み入れる。




「今日から此処が君の家だよ。」




気絶している彼女に優しく笑いかける。

だが、彼女はピクリとも動かない。




「まだ、起きないか・・・。」




僕は彼女を背中から降ろし、ゆっくりと床に寝かした。