大切なもの


階段を上ると、廊下が続いていた。

そのすぐのところに、

花梨の部屋があった。


「どうぞ。」


花梨は自分の部屋の扉を開けて、

俺と目を合わせた。


やっぱり、その顔は悲しそうで、

泣きだしそうな雰囲気だった。


「ありがと。」


俺は初めて、花梨の部屋に入った。

薄いピンクがメインの、

女の子っぽくて、

花梨のイメージぴったりの部屋だった。


大体は薄ピンクと白で、

絨毯のしたから覗くフローリングだけは木の色だった。



「……」


花梨は、何も話さない。

そして、俺も。


沈黙が続いたんだ。


でも、俺はそれに耐え切れずに、

花梨に話しかけた。


「どうした??

今日、なんか変だよ??」


って。


ずっと思ってたことを訪ねてみたんだ。