初めてやってしまったときは目覚めて「しまった」と思った。なにが「しまった」なのかはよくわからないが、布団ではなく座椅子で寝てしまったことがなぜか罪悪感を覚えた。なぜかは父を見て私が思っていたことに起因しているに違いない。しかし座椅子で眠るのはなかなか気持ちがいいことも確かだった。しかも、布団で眠るよりも目覚めがいい。

 ただ、父が座椅子で眠るようになったのは五十を過ぎて。私はまだ二十台。父が私のこの姿を見たら、きっと笑うに違いない。