マジック・エンジェルほたる


「有紀!うかれるのはよしなさい。そんなどうでもいい友達ならいない方がマシ!もっと気合いをいれてお勉強だけに集中しなさい。そんな蛍だか由香だかという人間とそんな所にいくなんて…あなたはもう少し「頭の働く子」だと思っていたのに…まったく。とにかく、もうそんな子たちとは付き合ってはいけませんよ」静はけしからんと言った感じで娘に冷酷な視線を投げ掛けてから、そのままそまの場を立ち去った。残された有紀は、ただ悩むばかりだった。………まるで暗闇にぽんと投げ込まれた気持ちだった。
 有紀のお部屋は、お馬鹿の蛍の部屋のような少女趣味的なものではない。また、皮肉屋で絵画おたくの由香の部屋みたいにキャンバスだけが並んで置いてある訳でもない。ただ、哲学書や歴史書などが本棚に並んでいる。本と水色のベットとクローゼットと机があるだけの部屋。しんと光る部屋。静かな空間。すべてが有紀らしい。
 机の上にポータブル・CDラジカセがあり、チャイコフスキーやモーツアルトといったCDがあるが、それはクラッシック・マニアらしい。
  有紀にはまるで「赤毛のアン」のアン・シャーリーのような一面もある。本だなに置いてあるピエロの人形を手にもって話しかけるのだ。しかも、熱心に情熱的に、少し寂し気に、
「ねぇ。あのねっ……私に…初めてお友達が出来たのよ。今まで、小さい頃からお友達なんて一人も出来なかったのに…。すごいでしょ?奇跡的よね?」
「それで?そのお友達は何て名前?」ピエロの声で、寝ぼけ気味に有紀はいった。