マジック・エンジェルほたる

                                 
狗肉(見掛けだおし)ね」と心の中で思わず呟いていた。そして、「え?」と言った。
「ほらほら、次は有紀ちゃんの番よっ」
 などと二人組に強引にゲーム機の座席に座らされた黒野有紀はオドオドとふたりの顔をみつめた。そして、「私はいいわ」と声を出すわけでなく、首を可愛らしく左右に三回振った。ー私には、多分できないわ。
「さぁ、さぁ、さぁ、さぁ、さぁっ!」
 有紀は、そんな二人の瞳を見つめてニコッと魅力的な笑みを無理に浮かべた。そして、ポケットから小さな小さなお財布を取り出して、可愛らしい指先で中から百円玉をつまみ出した。(由香や蛍はけして奢ったりはしない。いや、お金を出したりはしない。なぜなら、ケチだからだ)ー有紀は、きらきらとした百円玉を投入した。…ガシャン!
 次の瞬間、バーチャル・バトルのゲームが開始された。有紀はほとんど何の表情も変えずに華麗に操作レバーを動かし、ボタンを連打していった。はっきりいって蛍にも由香にも有紀の「ゲームのうまさ」は『意外』と映った。ふたりとも「有紀ちゃんは多分…百点もとれないでやられちゃうんじゃない?」と鷹をくくってたからだ。
 だから有紀の肩越しで画面を覗いていたふたり組は「う、嘘?!すごいじゃないの、有紀ちゃん!」と驚いて越えをあげた訳である。
 ド・スン!バキ・ッ!可愛らしくおとなしい文学美少女こと黒野有紀の操るファイターはすばやい動きで敵を倒していく。
 画面をくいいるようにみていた有紀の無表情の顔もしだいに明るいなにかで輝いてみえた。そしておおきな可愛らしい瞳も、嬉しさと興奮とトキメキできらきらと輝いてもみえた。有紀はどきどきしてから、