場所は喫茶店「ムーン・ライト」。
この喫茶店は、蛍と由香の「お気に入り」の店だ。なぜ気にいっているのかというと、その店内の雰囲気だ。ほんわりと白い壁やきらきらと輝くインテリアや、カシニョールの”庭の薔薇”の壁絵やちいさな愛らしい窓辺のモミの木やアール・デコ風の椅子やテーブルがオシャレだからだ。なにか、パリのシャンゼリゼ通りの喫茶店ともイメージが似てなくもない。店内に、いつもポップス音楽が流れているのも二人にとっては「好ましい」ことでもある。
しかし、蛍にとっては「アニメ音楽」、由香にとっては「ビートルズ」、有紀ちゃんにっては甘美で優雅な「クラッシック」のほうがよかったかも知れない。しかし、アニメ音楽はさすがに流すまい…。
三人はたいして広くもないほんわりほんわりした店内の奥にあるテーブルに向かい合って座っていた。なんとも幸せな雰囲気だ。
「さぁ、有紀ちゃん……コカインどうぞ!!」
戸惑う有紀にかまわず蛍は笑顔で可愛らしい真っ白なカップを手に持って『コーヒー』をそっと有紀のテーブルの前へ差し出した。由香はすかさず、
「カフェインでしょ!馬鹿ね、コカインなんていうのは麻薬…覚醒剤のことよ!」
と思わず呆れて注意した。「うるっさいのよ!」と蛍。
由香は蛍の言葉を「なにさぁ。(セーラのマネで)蛍ちゃんなんてぇ……馬に蹴られて死んじゃえーっ!!」
と明るい笑顔の冗談でかわした。
「なにぉ、セーラのマネしてんのよぉ!」
「けっこう似てんでしょ?あとねタレントの西田山ひかるの「ちいさいからトランシーバーと間違えちゃった」とか、ニュースキャスターの小宮さんの「はい、小宮です。では、国会前に待機している久米さんを呼んでみましょう、久米さん、久米さん…」とかいろいろできんのよっ」
蛍はニヤリと不敵な笑いを浮かべて「…でも、ちょっと甘いわね」と告げた。


